トウモロコシのデン下種自殖系統「Ho57」の育成とその特性

摘要

耐倒伏性が強く採種性の高いデント種のF_1親自殖系統「Ho57」を育成した。 本系統は2002年に「とうもろこし農林交親55号」として登録された。 「Ho57」は米国導入F_1品種「3389」を母材として育成された。 1986年に育成を開始し，耐倒伏性，雌穂特性などについての系統および個体選抜と自殖による固定化を進めた。 1993年にS_6世代に達し，1994年からは各種特性検定試験が行われ，その優秀性が認められた。 粒質は「デント」，早晩性は北海道では「極晩生」に属する。 耐倒伏性は「強」である。 すす紋病抵抗性およびごま菓枯病抵抗性はいずれも「弱」で，黒穂病抵抗性は「強」である。 初期生育は「やや良」, 梓長は高いが着雌穂高は平均的で，梓径はやや太い。 雌穂は円筒型でやや細く，粒列数はほぼ12列である。 採種性は高い。 花粉飛散程度は「中」である。 草型はセミアップライトである。 フリント種自殖系統との組合せ能力が高い。 本系統を種子親として耐倒伏性が強く多収な寒地向きの単交雑一代雑種品種「おおぞら」が育成された。