侵入検知·追跡カメラ

摘要

画像処理技術を用いた侵入者の自動検知は，古くから，発電所·変電所などの大型プラントや，水処理設備·空港設備などの重要施設における監視員の負荷軽減，省人数化のために開発されている。 このような分野では，見逃しが許されないだけでなく，誤検出の発生を極力ゼロにすることが望まれる。 このため，環境変化に強く高感度のカメラが導入されるとともに，誤検出を抑制する画像処理アルゴリズムと，それをリアルタイムで実行する専用ハードウェアが開発された。 また，少ないカメラ数でより広い範囲を監視するというニーズが高まっている。 これにこたえるために，カメラとパン／チルト雲台が一体化した複合一体型カメラが導入され，検出した侵入者をカメラのパン／チルト／ズームを制御して自動追尾しながら視野内にとらえ続ける画像処理アルゴリズムが開発された。 近年では，CPUの高性能化と画像処理装置の小型化が進み，外乱に対してより頑強な画像処理アルゴリズムが実現可能となり，画像処理装置を監視カメラに内蔵できるまでになっている。 また，ニーズの面からも，プラントや重要施設だけでなく，新たにオフィスやホームなどにおけるセキュリティに対する関心が急速に増加しており，今後，映像監視の分野では画像処理一体型監視カメラが伸びることが予想される。 本稿では，このような監視カメラで用いられる画像処理アルゴリズムのうち，特に侵入検知における誤報低減と，移動する侵入者の自動追尾に関して，その技術と性能について述べる。