日本卸電力取引所向け卸電力取引所システム

摘要

世界的な経済の規制緩和の流れの中，我が国でも1995年の電気事業法改正を皮切りに，電気事業に対する規制緩和が進展してきた。 そして，2005年4月，日本卸電力取引所（以下JEPX）において，現物としての電気を取引する卸電力取引が開始された。 この卸電力取引の開始により，我が国の電力供給体制が従来の電力会社による独占的な形態から，いわゆる，市民参加型への変革を遂げる大きな一歩を踏み出すこととなり，2007年以降に検討が開始される小売完全自由化など，将来の我が国の電気事業の在り方に大きな影響を及ぼすものと考えられる。 JEPXにおいて開かれる市場は，①翌日の電気を受渡しするスポット市場，②スポット市場から将来の電気を受渡しする先渡定型市場，③将来受け渡される電気を自由に取引するために設けられた場としての先渡掲示板市場，の3種類からなる。 市場参加者はそれぞれの市場において，注文入札，約定結果の取得，スポット取引に伴う金銭決済等の取引業務を，インターネットを介して接続したJEPXシステムで電子的に行う。 一方，取引された電力の受渡しは電力系統の上で行われるが，電力系統の利用の公平性·透明性を確保するために電力系統利用協議会（以下ESCJ）が設置された。 JEPXシステムは，電力系統情報の授受のためにESCJとシステム連係し，電力安定供給と協調を図った上での電力取引を実現している。 本稿では，三菱電機が開発し構築を行った日本初の卸電力取引所システムの機能，構成について述べる。