放電／切削·研削ハイブリッド加工による高能率微細加工

摘要

近年，情報·通信，医療分野，さらに燃料電池，太陽電池に代表されるエネルギ分野などの先端技術分野では，機器の小型·軽量化にともない，それらの部品や生産用金型には，さらなる微細化と高能率加工へのニーズがますます高まっている．放電加工は，アスペクト比の高い深穴，深溝や微細形状加工に適した加工法であるが，電極消耗にともなう加工精度の低下や表面粗さなどの改善が必要である．一方，微細工具を用いる切削や研削加工は，比較的高精度で細かな仕上げ面が得られるものの，工具の剛性上の問題から，アスペクト比の高い形状加工には限界がある．そこで，放電による前加工を行った後，切削や研削による仕上げ加工を行えば，工具への負担が軽減されることから，高能率な微細加工が可能になると考えられる．すでにこれまで，フライス加工の機能をもたせた放電加工機やYAGレーザで加工した下穴を放電加工で仕上げる方法など，それぞれの加工法の特徴を利用した複合加工法が提案されているが，小径工具による微細加工では，通常の放電加工機を用いても切削や研削加工が可能でき，複合化が可能であると考えられる．本研究では，仕上げ加工が困難なアスペクト比の高い微細溝加工を対象として，放電加工機上に切削，研削機能を付加したハイブリッド加工システムの有効性について検討した．