ポリマーセメントモルタルの接着強度に及ぼすコンクリート下地処理法の影響

摘要

中性化，塩害，アルカリ骨材反応など種々の劣化原因で損傷したコンクリート構造物の補修に際して，コンクリートはつり箇所の断面修復には，ポリマーセメントモルタル系断面修復材が数多く使用されている．この理由として，断面修復箇所の1回の塗布厚さが比較的薄く，施工環境の影響，特に断面修復材が乾燥の影響を受けやすく，補修後のコンクリートとの接着性が懸念されるためであると考えられる．一般に，ポリマーセメントモルタルは，セメント混和用ポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂をポリマーセメント比でおよそ5～20％混和したセメントモルタルであるが，実際の断面修復材では，ポリマーセメント比が比較的低い10％以下程度のものが多く使用され，左官工法または湿式吹付け工法で施工されている．しかしながら，コンクリートとの接着性に優れていると考えられているポリマーセメントモルタルであっても，実際の補修工事では断面修復箇所のコンクリートとの接着性にばらつきが多く断面修復材の性能や施工方法以外に，接着させるコンクリートの下地処理方法に影響されている可能性が考えられる．