スギ心持ち正角材の外層部接線方向横引張クリープおよび内層部放射方向横圧縮クリープ

摘要

スギ心持ち柱材の材面割れの原因となる材面応力の大きさに関与すると考えられる村外層部の接線方向横引張クリープと村内層部の放射方向横圧縮クリープの特性について検討した。 　 まず，含水率が－一定状乱すなわち水分定常状態においてはいずれのクリープひずみも高温ほど大きく，除荷後の残留ひずみも高温ほど大きかった。 一方,乾燥過程すなわち水分非定常状態における横引張ならびに横圧縮の両クリープ挙動は次のような類似した特性を示した。 1初期弾性ひずみは,いずれも高温ほど大きく，弾性的性質に温度依存性が見られた。 2初期彈性コンプライアンスを除いたクリープコンプライアンスの温度依存性はほとんど見られない。 つま含水率低下に伴うクリープの増加（メカノソープテいプ変形）は温度の影響を受けない。 これは，久田が報告した乾燥過程におけるヒノキ等の引張クリープ試験結果と類似している。 その桔乳相対クリープで比べると，高温度条件の方が小さな値を示した。 （3）乾燥過程の含水率30％以下の領域では含水率低減に伴いほぼ直線的にクリープ変形が増大した。 その勾配は温度によりほとんど影響を受けないことが明らかになった。 　 4除荷後のクリープコンプライアンスの非回復成分は高湿度条件で大きいことが明らかとなったが，その要因としては，温度によるクリープ変形の差ではなく弾性的性質の影響であることが推察された。 　 さらに，乾燥過程の放射方向横圧縮クリープでは，いずれの乾燥温度においても，髄から離れた部位からの材ほどクリープコンプライアンスは低い値をたどることが分かった。