メタポリックシンドロームにおける高脂血症の臨床的意義とその対策

摘要

今日の先進諸国では虚血性心疾患や脳血管障害などの動脈硬化性疾患が死亡原因の第一位を占め，その対策が急がれている．動脈硬化の危険因子としては高コレステロール血症をはじめとして耐糖能異常，高血圧，高トリグリセリド（TG）血症，高ホモシステイン血症，喫煙など多くのものが知られている．これらの危険因子は，個々の異常が軽度であっても重複すると動脈硬化性疾患の発症頻度は相乗的に増加することが知られている（区）1）．これらのうち耐糖能異常，高血圧，高TG血症，低HDL血症，高インスリン血症は同一の人に合併して現れることが多く，“SyndromeX’’，“死の四重奏”，‘‘内臓脂肪型肥満’’，あるいは“マルチプルリスクファクター症候群”と呼ばれていた（表1）