牛ウィルス性下痢、粘膜病の(Bovine viral diarrhea-mucosai disease ： BVD-MD) 多様な病態とその対策につも、て

摘要

牛ウィルス性下痢.粘膜病（BVD-MD)は牛ウィル ス性下痢（BVD)ウィルスによって引き起こされ、牛 に呼吸器症状や下痢等の消化器症状、発育不良を認め る他、泌乳量低下、流死産あるいは先天性異常子牛の 出生等多様な症状が認められる。1940年代に世界で初 めて発見されたころは重篤な下痢症を呈した牛や粘膜 病を発症した牛が確認され、本病名の由来となった。 しかし現在世界的には本病の本質を踏まえた牛ゥィル ス性下痢症（Bovine viral diarrhea)との名称で呼ばれ、国際獣疫事務局の「家畜家禽重要疾病リスト」の中の 牛における伝染性疾病の1つにもなつている。我が国 では本病への意識向上とともにウイルス検査法の改良 が認められたこともあり、発生報告（戸数、頭数）が2000年代から全国的に増加傾向を示している（図1)。 本病と同様に異常産等を引き起こすアカバネ病ゃィバ ラキ病は、昆虫媒介性ウィルスであるため発生地域や 季節が限定的であるが、本病は全国あるいは全世界の 至る所で季節に関係なくいつでも発生しうる疾病であるといえよう。