水稲，ダイズ栽培における雑草問題の今日的課題

摘要

水稲，コムギ，ダイズを基幹作物とする日本の土地利用型作物生産においては，多くの専門分野の共同研究により日本型機械化生産体系が確立されてきた．1970年代の水稲機械移植栽培体系の確立においては，農業機械学，作物学などと合わせて雑草学の役割が技術開発に不可欠であった．一方，近年の国際的な穀物需給の逼迫のもとで食料自給率の向上が重要課題となり，さらに食の安心，安全が強く求められていることから，輪作体系を基本とする土地利用型作物生産においても，イネでの直播栽培，WCSなど多用途向け栽培，特別栽培など，ダイズでの耕起，部分群，不耕起など播種法別栽培，狭畦栽培などに見られるように，省力，低コスト，軽労化，栽培様式の多様化，安全，安心の確保を目指す新たな生産技術への挑戦が行われるようになった．新たな生産技術の開発から安定的に普及するまでの過程においては，現場段階での作物学と雑草学の共同研究が不可欠であり，また実際に多様な形で取り組まれているが，現場での雑草制御においてはさまざまな課題も生じている．