豚において無作為選抜が離乳頭数の育種価に及ぼす影響

摘要

繁殖能力が選抜対象形質でないとき，世代の更新が離乳頭数の遺伝的能力に及ぼす影響について検討した。 まず，異なる平均離乳頭数下で，理論的に離乳頭数の期待選抜差を導いた。次に，モンテカルロ法によるコンピュータシミュレーションによって，繁殖集団のサイズ，集団の平均離乳頭数，一腹から選抜される雌の最大頭数を変えて無作為選抜を10世代繰り返し，最終世代における育種価の平均を算出した。平均離乳頭数が少ないほど，また一腹から選抜される雌の最大頭数が多いほど選抜差の期待値ほ大きくなった。 コンピュータシミュレーションによる最終世代の累積選抜反応も，平均離乳頭数や一腹あたり雌の最大選抜頭数に閲し，選抜差の期待値と同様の結果が得られた。 また，繁殖集団のサイズが小さいほど，離乳頭数の遺伝的改良量は大きくなる傾向にあった。 平均離乳頭数が4頭の場合，離乳頭数は10世代で約0．5頑改良された。 以上の結果から，無作為選抜においても離乳頭数は正の方向に選抜を受けていることが示された。