クワ萎縮病及びタマネギ萎黄病ファイトプラズマのPCR法による媒介昆虫及び非媒介昆虫からの検出

摘要

ファイトプラズマ（phytoplasma）は農作物を含む様々な植物に萎縮，てんぐ巣などの症状を引き起こすことが知られている．大きさが1 mu m以下で細胞壁を欠き不定形である点でマイコプラズマに類似しているが，16SrRNA遺伝子解析をもとにした系統分類により現在では系統学的に明瞭に異なる微生物の」群であると考えられている．ファイトプラズマは主としてヨコバイなど半趨目（Hemiptera）に属する飾部吸汁性昆虫により伝搬されるが，ファイトプラズマと媒介昆虫との関係は特異的であり，一般に，その特異性はヨコバイ類の植物に対する噂好性も関係していると考えられている．罷病植物の飾管部から媒介昆虫の口吻により獲得されたファイトプラズマは，消化器官を経て血体腔中に入り，そこで増殖したのち唾液腺に移行し，接種吸汁により健全植物を発病させると考えられている．