日本での発生が初めて確認されたチュウゴクナシキンフ；Cacopsylla chinensis (Yang & Li)

摘要

日本に150種以上が知られるキジラミ類（カメムシ目：キジラ ミ上科）のうち，栽培ナシ類を加害することが知られているのは ナシキジラミCacopsylla pyrisuga (Foerster, 1848)のみである (Inoue, 2010).本種による被害はおおむね4-5月（寒冷地では 6月まで）に限られ，幼虫の集団吸汁によって新葉の萎縮や花蕾 および幼果の発育阻害が引き起こされるほか，排泄物（甘露）に すす病が発生する（井上，2004).本種は年1化性で，新成虫は 5-6月に発生するが，羽化後すぐに寄主植物を離れて越夏'越 冬し，.翌春までナシ樹上で採集されることはない.なお，フタホ シナシキジラミCacopsylla pyricola (Foerster, 1848)も，かって 日本から記録されたことがある（Kuwayama, 1908),本種はそ の後100年以上のあいだ国内で採集された記録がなく，日本のキ ジラミ相から除外されることも多い.