塩ビ管を用レ、た簡易型MAP回収装置によるふん尿 分離豚舎汚水中のリン回収技術の検討

摘要

塩ビ管を用L 、た簡易な構造のMAP回収装置を試作し，水溶性リン酸態リン濃 度が低いふん尿分離型豚舎の豚舎汚水からリン結晶化法によるリン回収を試みた。反応槽 下部からの曝気により反応槽内の豚舎汚水のpHを上昇させ，水溶性リン酸態リンを結晶 性リン酸態リンに誘導することが可能であつた。その際，曝気強度が大きいほど短時間で pHが上昇した。反応槽容積に対する汚水投入量とpH上昇時間の検討結果より，反応容 積200 Iの本装置の場合，曝気強度30 mVm~3 、時の条件で汚水滞留時間1時間が必要で あったことから，処理能力は約4.8 mV日であることが分かった。本装置での水溶性リン酸 態リンの結晶化率は，pH 7.7, Mg/PO_4P比0.48の豚舎汚水を用いた場合，マグネシウム 源を添加しない条件では41%である力く，反応後の処理水中の水溶性マグネシゥム濃度が 40 mg/Z以上になるようマグネシゥム源を添加する条件では，結晶化率は75%まで向上す ることが明らかとなった。次にpH 6.94,水溶性マグネシゥム/リン酸態リンのモル比は 0.56,水溶性リン酸態リン濃度63mg//の豚舎汚水を用いて，簡易型MAP回収装置のリ ン回収量を検討した。装置の運転条件は汚水滞留時間1時間，曝気強度45m~3/m~3 、時， 30%MgC12溶液の添加量を汚水量の0.1%とし,MAP付着部材として槽内にステンレス 製の網力ゴを浸漬した。夏季の44日間のMAP回収量は，5.3 kgであつた。投入水溶性リ ン酸態リン1kgあたり0.61 kgのMAPが回収できた。以上のことより本装置は，反応槽 下部からの曝気によりリン結晶化反応に必要な汚水のpH上昇を図ること及びマグネシゥム源を添加することで，水溶性PO_4Pの結晶化率を70%以上とすることが可能であつた。 この条件では水溶性リン酸態リン濃度が62.8 mg/lの豚舎汚水1m~3から38 g/m~3のMAP が回収可能であった。