黒毛和種体細胞クロ一ン肥育牛における発育および肉質形質の評価

摘要

同一ドナーから作出した黒毛和種体細胞クロ一ン牛11頭，ドナ一牛1頭および一般牛9頭 を用いて，体細胞クローン牛の発育および肉質形質を調査した.体細胞クローン牛の発育形質の変動係 数は，体重，体高および胸囲で一般牛間より低く， BMS No.を含む枝肉形質の変動係数も同様の傾向を 示した.また，体細胞クロ一ン牛の胸最長筋の理化学特性，官能特性の変動係数は，筋線維とコラ一ゲ ンを除く，ほとんどの形質で一般牛より低かった.体細胞クローン牛と一般牛との平均値は，すべての 発育形質で同水準であった.体細胞クローン牛の肉質形質の平均値は多くの形質で一般牛と異なった 力ヾ'，これまで報告されている黒毛和種の値と顕著な違いはなく，異なった要因の多くは遺伝的な筋肉内 脂肪蓄積量の雾いで説明できた.また，ミ卜コンドリアDNAは，筋肉内脂肪に影響を及ぼす可能性があ るが,そめ効果は小さいこと力《示された.なお，体細胞クロ一ン牛とそのドナ一牛との発育および枝肉 形質は，高い相似性を示した.以上の結果から，体細胞クロ一ン牛間および体細胞クローン牛とドナ一 牛との発育と肉質の相似性は高く，クローン技術により作出したゥシの発育および肉質は正常値の範囲 内にあること力く確認された.