堆肥化に伴う豚ぶん中の銅および亜鉛の化学形態変化と植物吸収移行性

摘要

CuやZn含有率の高い豚ぶんを用いて堆肥を作製し，豚ぶんの堆肥化過程でおこるCuやZnの化学形態変化と植物への吸収移行性について検討した．1）いずれの元素とも堆肥化後に水溶態および希酸可溶態が増加した．その増加割合ほCuよりもZnで大きく，特に水溶態Znの増加が顕著であった．これらの特徴はいずれの堆肥でも同様に認められ，添加副資材の影響は認められなかった．2）堆肥化に伴う豚ぶん中のCuおよびZnの可給態化は豚ぶん中の有機態CuおよびZnの無機化に伴うものであると推察された．3）標準的な豚ぶんおよび豚ぶん堆肥の施用量（20Mg ha~(-1)）であれば，堆肥化してもCuやZnの植物吸収移行性が助長されることはないので，堆肥化に伴う豚ぶん中のCuやZnの可給態化ほ問題ではないと考えられた．しかし，施用量が40Mg ha~(-1)と多い場合，Znの植物吸収移行性ほ堆肥化によって助長される傾向を示すので，植物のZn過剰吸収を招くおそれがあると思われる．なお，いずれの堆肥でもCuおよびZnの含有率ほ同等であり，Cu，Znの吸収移行性に関して添