水稲湛水直播圃場における生育分布

摘要

稲湛水直播栽培では幼穂形成期までに窒素の肥切れが 生じ収量低下の原因となっている（岡田，2012).このため， 生育初期に稲体の窒素栄養状態を把握し，窒素の追肥を行 うことは高収量を安定的にえるうえで重要である.追月巴の 要肥診断を生産現場で実施する場合は，非破壊で簡便かつ 稲体の窒素栄養状態を正確に反映していることが要求され る.水稲移植栽培において稲の窒素栄養状態を示す指標とし て，草丈，茎数や葉色が適している（丹野，1988).水稲 直播栽培は圃場に直接播種することから，圃場の微細な条 件により苗立ち本数が異なり（佐々木ら，2002)，移植栽 培と比較して生育のばらつきの大きいことが予測される. また北海道では一筆あたりの圃場面積を広くする傾向にあ り，圃場内の生育の分布を知ることは栽培管理上大切であ る.しかし直播栽培において初期生育を調査した例は少な く（佐藤ら，1993;佐々木ら，2002),比較的大きな水田 を使用して圃場全体から十分な試料を調査し，生育値の圃 場内分布をみた報告はない.