異なるリン施肥の黒ボク畑土壌におけるアルミニウムの動態

摘要

我が国の畑土壌の約50％が黒ボク土壌で覆われている．そのため，施用されたリン（P）は，活性アルミニウム（Al），活性鉄などと結合して難、不溶化し，高いリベルで蓄積している．黒ボク畑土壌に施用あるいは蓄積されたPの動態を明らかにするために，典型的な多腐植質黒ボク土壌（古富士起源）である東京農工大学農学部附属農場（東京都府中市）で，1982年11月より，化学肥料および堆厩肥によるP投入の有無を組み合わせた長期圃場試験が行われた．その結果，堆厩肥および化成肥料としてのP投入の有無にかかわらず，全Pに対するアルミニウム態リン（AI－P；関谷、江川法により1moIL~(-1)NH_4F溶液で抽出されるP画分）の割合が経年的に一定の比率（年約2％）で増加していくことが示された．