酸化還元研究の新展開 -土壌の酸化還元がもたらす現象を追う一 1.土壌の酸化還元にともなう無機元素の形態変化を追跡するツール-X線吸収スペクトル近傍構造（XANES)-一

摘要

XANESと書いて，ゼインズ，あるいはザ一ネスと発 音する.X-ray Absorption Near—Edge Structure (X線 吸収スペクトル近傍構造）の頭文字をとつた略語である. XANES, Soilという2つのキーワードで2001年から 2010年までの過去10年の論文検索をおこなうと，390 件の論文がヒットする.同じキ一ワードで1991年から 2000年までの論文を検索すると，ヒット論文数は32件 である.最近10年の間に，XANES法の土壌への応用が 飛躍的にすすんだことがうかがえる. XANES法には，土壌固相中の物質を抽出することなく， 固相に存在するままの状態で形態分析ができるという利点 がある.還元がすすんだ土壌固相のように，抽出操作の過 程で測定対象元素の形態変化が懸念されるような系や，測 定対象元素が土壌固相に強固に結合しており，その形態を /維持したまま液相に抽出するのが困難な系では，形態分析 のツールとして有利な手法である.