農用地における重金属汚染土壌の対策技術の最前線: 4．植物による汚染農地の修復 －実用可能なファイトレメディェーショソを目指して－

摘要

土壌中の有害物質を植物に吸収させ，あるいは分解や不溶化させることにより土壌を浄化するファイトレメディェーショソ（Phytoremediation）は環境に優しい方法として近年注目されている．特に，重金属類などを植物に吸収、蓄積させ，それを圃場外に持ち出すことにより土壌を浄化するファイトエクストラクション（Phytoextraction）ほ9），客土に比べて修復に時間を要するものの低コストで行うことができるため，行政等の関心が高い（ここでは特に断らない限りファイトエクストラクションのことをファイトレメディェーショソとする）．この技術は植物の重金属吸収能を利用して3～5年をかけて徐々に浄化するものである．それ以上の年数をかけることはコスト的にもメリットが薄れるとともに農家の作物生産意欲をそぐことにも繋がりかねない．そのため，適応できる土壌の重金属濃度は比較的低いレベルの土壌に限られる．対象となる地域は有害物質の種類にもよるが，カドミウム（Cd）などでほ広範囲に広がる．