施用有機物由来窒素の5年間にわたる水稲への吸収利用と施肥窒素の削減

摘要

近年，環境保全型農業が推進され，家畜ふん堆肥等有機物による土づくりが盛んとなっている．しかし，有機物中に含まれる養分は施肥量にはあまり考慮されてこなかった．作物生産と環境保全両立のためには，化学肥料だけでなく有機質資材に含まれる肥料成分の作物吸収量をも考慮した合理的な有機質資材の施用技術の開発が急務である．従来，有機質資材の窒素挙動の測定法としてガラス繊維ろ紙埋設法があり，兵庫県においても二見らが各種有機物の窒素放出量を測定しているが，この方法では，施用した有機物から作物に吸収される窒素量が明確ではない．