窒素をめぐる研究成果を政策に反映させるために--「第3回国際窒素会議」の案内

摘要

第3回国際窒素会議（The Third International Nitrogen Conference）が2004年10月12～16日中国南京で開催される．窒素は食糧生産にとって最も重要な元素であるとともにその環境への影響も大きいことから，世界の注目を集めている．農業、工業の急速な発展と世界人口の急増の結果，肥料窒素，化石燃料起源のNO_x，農耕地における生物的窒素固定の量は，いずれも自然界を循環する各窒素量に匹敵する量にまで達し，今日，自然界での窒素循環に深刻な影響を及ぼすに至っている．人間活動の窒素循環への影響はまた，反応性に富む窒素化合物（NO_x，N_2O，NO_3，NH_3等）の大気や水域への移行を促進し，N_2Oは地球の温暖化やオゾン層の破壊を，NO_3~-，NO_2~-やNH_3ほ飲料水の水質悪化や周辺流域の富栄養化をそれぞれ引き起こしていることは周知の通りである．加えて，湿性や乾性の窒素降下物ほ森林生態系の機能に影響し，森林からの流去水の富栄養化をもたらしている．特に途上国における人口増加と経済成長にとって食糧生産とエネルギー消費の拡大は不可欠であり，化学肥料とエネルギーの更なる消費に伴う環境への影響ほ今後益々深刻化するものと推察される．将来に向けて環境保全と天然資源の保護に配慮しつつ，窒素とエネルギー消費の増加は可能か布か？