シンポジゥ厶記録水産資源の有効利用とゼロェミッション III-2.魚腸骨一ここまで進んだ魚腸骨の利用

摘要

現在，水産物の持続可能な有効利用が|让界的に求めら れており，資源の厳格な管理のみならず有効利用とその 価値を世間へむけて広報する告知活動もきわめて重要で あるとされている。これまでに得られた多くの研究成果 から，水産物に本来含有されている成分や機能性に関す る知見は，人類の将来に対して大きく貢献するものと考 えられる。その意味で，水産物は単に美味しいものというだけではなく， QOLを高めうる素材であるともいえ る。この点に関しては，これまでにわが国では数々の研 究成果が蓄積されており，今後はこれらを更に深化させる必要がある。とりわけ，資源の欠乏が予想される今世 紀は残滓や魚腸骨の有効利用の時代と言っても過言では ない。現在，魚腸骨に含まれる主な機能性物質としては以下 のものが知られている。イカ皮やミール（DHA結合型 リン脂質)，イカ墨汁嚢（抗腫瘍性ペプチドダリカン)， サケ（白子に含まれるDNA,氷頭中のコンドロイチン 硫酸，I型コラーゲン，卵巣膜の動物ブラセンタ類似成 分，皮のコラーゲンなど），ェビ.力二 （甲殻に含まれ るキチン、キトサンやN-ァセチルダルコサミン），力 ッォ（煮汁中に含まれるアンセリン，動脈球，エラスチ ン加水分解物)，魚鱗（コラーゲンペプチド、 I型コラー ゲン），サメ （皮'コラーゲン，軟骨、プロテオグリカ ン，コンドロイチン硫酸)，貝類（軟体部に含まれるグ リコーゲン），魚の加工残滓（魚醤や調味料，酵素分解 物）など。