甲幅組成から推定した富山湾におけるベニズワイ雌の成長と成熟サイズ

摘要

ベニズワイChionoecetes japonicusは日本海における 重要な漁獲対象種の一つで，日本海（我が国の排他的経 済水域（以下，EEZ)内）で漁獲され本州沿岸に水揚 げされた量は，1984年には最高の44,123トンを記録し た。"しかしながら，その後漁獲量は減少して，2003年 には12,055トンにまで落ち込み，資源状態の悪化が懸 念されたことから，水産庁により我が国EEZ内の大臣 許可水域および兵庫県の知事許可水域（日韓暫定水域を 除く）を対象とした資源回復計画が策定され，いくつか の規制措置が講じられている。今後，本種の資源管理 を効果的に進めて行くためには，漁獲対象である雄につ いて年齢や成長を明らかにする必要があるが，不明な点 が多く残されている。一方，本種の雌は省令により漁獲 が禁止されており，直接漁業の対象とはなっていない が，甲幅54 mm未満では雌雄の成長差が認められな い2)ことから，雌の成長を明らかにすることにより，雄 の成長の手掛かりを得られる可能性がある。また，雌が成熟に達するまでの年齢や成長は，本種の再生産サイク ル（世代交代）にも影響を及ぼす重要な生物学的知見で あり，明らかにしておく必要がある。