最新の家畜疾病情報（XX): 家畜のブルセラ病

摘要

ブルセラ病は，ブルセラ属菌(Brwcella spp.)によつ て引き起こされる世界的に重要な人獣共通感染症であ る.本病は，家畜、動物がブルセラ属菌の感染により伝 染性の流産を起こす全身性の疾患で，人では感染動物と の接触や生乳、乳製品から経口感染する.家畜（牛，水 牛.鹿，めん羊，山羊，豚，いのしし）のブルセラ病は 家畜伝染病予防法における法定伝染病であり.人のブル セラ症は感染症法（感染症の予防及び感染症の患者に対 する医療に関する法律）における4類感染症に指定され ている.ただし，犬のブルセラ病は家畜伝染病予防法の 対象外となっている.また，Brucella melitensis, B. abortus, B. suis, B. は感染症法における三種病原体であり，これらの所持には厚生労働大臣への届出が 必要となり.また取り扱いはバイオセーフティレベル3 で行い，取扱施設は三種病原体等取扱施設基準を満たし ている必要があるなど，所持、使用には厳しレ、制限がか けられている[1].本稿ではおもに家畜におけるブルセ ラ病について説明する.