ミニシンポジウム　水棲動物のリポタンパク質、ホスホリパーゼA_2、レプチン受容体魚類血祭アポリポタンパク質の構造と撥能

摘要

一般に，魚類体内の脂質レベルは高く，腸や肝臓において活発な脂質の吸収合成分泌が行われている。水に不溶な脂質は，血奨リポタンパク質の形態で体内を移動するが，どの組織に脂質が運搬されるかはリポタンパク質を構成するタンパク質成分である，アポリポタンパク質によって決定される。 ヒトではA，B，C，D，E，F，G，H，Jなど，十数種類のアポリポタンパク質が同定されており，特にBとEは中性脂質やコレステロールの運搬に重要であることが指摘されている。 一方，魚類の血発リポタンパク質濃度は高いにもかかわらず，これまでアポリポタンパク質AとBの二種類の成分によってリポタンパク質代謝を理解しようとしてきた。 ところが，晴乳動物以外の脊椎動物には存在しないとされていたアポリポタンパク質Eの発現がゼブラフィッシュで確認されたこと，またアポリポタンパク質Aに類似した新規のタンパク質がウナギ血祭リポタンパク質中に見出されたことから，魚類のアポリポタンパク質組成はこれまでに考えられていた以上に複雑であることが明らかとなってきた。