リケッチア感染症(つつが虫病，紅斑熱）の迅速検査法体系の構築

摘要

我が国では，つつが虫病（病原体：Orientia tsutsugamusht)と日本紅斑熱(病原体：Rickettsia japonica)の2種類のリケッチア感染症が毎年発生してお り，2014年には全国で，それぞれ320症例及び241症例 が四類感染症として報告されている.これらの疾患は，感 染初期であればテトラサイタリン系の抗生物質が著効を示 すので,早期迅速診断は非常に重要である.迅速診断法と してはPCRが有効であり，つつが虫病についてはnested PCR力《，紅斑熱についてはsingle PCR(陰性の場合は，同 一プライマーを用いたdouble PCR)が国立感染症研究所 編集/発行の「リケッチア感染症診断マニュアル」に掲載 されている.しかし，前者については検査方法が煩雑で長 時間を要すること，後者については検出感度力《低いことが 欠点としてあげられる.今回は，これらの欠点を補うこと カ5ーできるMultiplex real-time PCRとone-tube nestedPCR(1つのチューブに2回分のprimerを入れ，1st PCR と2nd PCRを連続して行う方法）を用いたリケッチア 感染症の迅速検査法体系の構築を試みたので報告する.