過剰排卵処理における排卵後の経膣生体卵子吸引がウシ胚生産に及ぼす影響

摘要

ウシの育種改良に胚移植を用いる場合、短期間に安定した弥生産技術が求められる。 しかし、ウシの過剰排卵処理(以下SOV)は、供胚牛ごとの卵巣反応及び回収胚数にぼらつきが大きく、胚生産が安定しないことが問題の1つとなつている。 一方、 SOVの排卵終了後の卵巣内にも大小様々な卵胞が存在している。 これらの卵胞はこの後に排卵する可能性が低い上、排卵しても胚として得られる見込みが少ない卵胞であり、道残卵胞へと変化すると考えられる。また、SOVの発情後の遺残卵胞が卵管及び子宮内における膝の発育に悪影響を及ぼしている可能性も指摘されている。 経腹壁体卵子吸引(以下OPU)-体外受精(以下IVF)は卵巣内卵胞より卵子を超音波診断装置を用いて吸引採取し、体外成熟、受精、培養する技術であり、膝の効率的な生産を目的として実施されている。 この技術はSOVで正常胚が採取できない供胚牛に対しても有効であるとされている。このOPUを用いて、SOVの排卵彼の卵巣から卵子を胚回収前に吸引し、IVFすることにより胚生産の効率化が図れる可能性がある。そこで、本試験ではSOVの排卵彼の卵巣内から卵胞内卵子を吸引採取することによるSOV成績への影響と、吸引採取した卵子のIVF彼の発生能について調査し、SOVとOPUを組み合わせた短期間における胚生産の効率について検討した。