愛知県海上の森におけるナラ枯れ被害林分の森林動態

摘要

ナラ枯れ被.宵林分の変化は，構成樹種の違いによって異なることが予想される。愛知県海上の森の三つの林分（発達したド屑木を持つ林分，持たない林分，上層木にァラカシを交えた林分）における7年間の毎木調査の結果，ナラ枯れ被害は発生か ら5年の間で特に激しく ,コナラとアベマキの死亡率はM程度であり，最終的には幹数にして両種ともに6割程度が枯死した ことがわかった。これにより林分の胸高断面積合計は2割程度低下した。一方で，胸高直径（DBH) 5cm以上の上層木におけ るタカノッメやヒサカキ，およびァラカシでは高い新規加入率を示し，ソョゴゃリヨウブでは成長速度が速い期間が認められ た。下屑木（DBHlcm以上5 cm未満）でも夕カノッメ，ヒサカキ，ァラカシに加えてネズミモチゃャブツバキで高い新規加 入韦と成長速度が確認された。そのためナラ枯れ被害林分は，林相の違いによって，残存コナラが高木層をしばらくは維持し つつも亜"木^に落葉広葉樹が繁茂する，すぐには大きな変化はないものの将来的には高木層をほぼ欠いた低-中層に常緑広 柒樹が繁茂する，もしくはァラカシ力5'優占する林分へと移り変わつていくことが考えられた。