牛の卵胞発育ゥェーブ —卵胞発育ウェーブの制御と人工授精および胚移植への応用一

摘要

ホルモン製剤を用いて牛の発情周期を人為的に 制御する試みは、当初エストラジオール、馬絨毛性性腺刺激ホルモン（eCG)、ヒト絨毛性性腺刺 激ホルモン（hCG)などの製剤を用いて行われて いた。プロスタグランジン(PGF)製剤の製 品化により、容易に発情を誘起することができる ようになつた。一方で、超音波診断技術の進歩に より家畜の卵巣生理に関する研究も急速に進歩し た。なかでも卵胞発育ウェーブの発見は、その後 の卵胞発育の制御技術に多大な貢献を果たした。 今日では、容易に卵胞発育を促し排卵を誘起する ことができるようなった。これらの制御技術は、 発情同期化、過剰排卵誘起処置に応用されるよう になった。このような牛の卵胞発育の人為的な制 御技術の基本にあるのが卵胞発育ゥェ一ブの制御 である。本稿では、卵胞発育ウェーブの制御と人工授精 および胚移植への応用について諸氏の報告と演者 の試験結果を用いながら紹介する。