水稲田における水稲の成熟段階および住宅からの距離がスズメPasser montanusの採食場所選択に与える影響

摘要

スズメ Passer montanusが選好する水稲田の特徴 を，水稲田と住宅地の距離とイネ0ひzfl sativaの 成熟段階から検討した.茨城県南部の竜ケ崎市か ら千葉県北部の香取市に広がる水田地帯で，2011 年の8月中旬と下旬にライントランセクト法を用 いて鳥類センサスを行い，同時に各水稲田の住宅 地からの距離とイネの成熟段階を調査した.スズ メの観察の有無を目的変数とした一般化線形混合 モデルによるモデル選択の結果，8月中旬，下旬 ともに水稲田と住宅地との距離は，スズメの観察 の有無に対して有意に負の影響を持っていた.ま た，スズメの採食場所選択における水稲田の成熟 段階の影響は，8月下旬の調査においてのみ見ら れ，完熟期の水稲田はスズメの利用に有意に正の 効果を持っていた.これらのことから，スズメは 住宅に近い水稲田もしくは，完熟期の水稲田を採 食場所として選好することが示された.