岩手県鸞宿地方のアカマツ人工林における亜高木層の落葉広葉樹の密度の違いが林床のクマイザサ，稚樹の密度に及ぼす影響

摘要

林齢31～39年のアカマツ人工林を対象に，林冠層のアカマツ，亜高木層の落葉広葉樹，林床のクマイザサ，椎樹の間における密度（胸高断面積合計，本数密度，地上部現存量）の対応関係を調べた。 アカマツと落葉広葉樹の密度との間に相関は認められなかった。 一方，落葉広葉樹の密度は，若葉期のクマイザサ群落表面の相対光量（rPFD）やクマイザサの密度との間に負の相関を示した。 クマイザサの密度はrPFDとの問に正の相関を示した。 また，椎樹の密度はクマイザサの密度と負の関係を示した。 以上のことから，階層の発達したアカマツ人工林では庇陰効果により，亜高木層の落葉広葉樹の密度が林床のクマイザサの密度に対し負の影響を，クマイザサの密度が椎樹の密度に負の影響を与えていると結論される。