スギ林分経営の収益最大化に伴う炭素収支分析

摘要

現在、地球温暖化ガスのーつである二酸化炭素の吸収源として、森林の果たす役割が注目されている。特に京都議定書の批准により、森林における炭素吸収量あるいは木材利用に土る炭素削減効果の定量的な把握が必要とされている。これまでの研究では森林の炭素吸収量や製材段階でのェネルギーコスト比較等を個別に分析したものが主流であったエネルギーコスト比較については外材に関するデータを基にした分析が多いが（中島ら1991，大熊1998）、国産材ヤ国内生産工程のデータを基にした研究は少ない。 また，植林、育林段階から素材生産を通し、製材品生産までの一連の木材生産工程を想定した分析についてはほとんど研究の例を見ない。 今後、国内の林業、林産業の地球温暖化防止に対する役割を把握するためには，植林から製材品生産までの一連の木材生産工程を総合的に捉えた炭素収支分析が必要不可欠となる。本研究ではその第一段階として素材生産に関わる炭素固定量最大化により、植林から製材品生産までの工程に対する炭素の収支分析を行う。