自然、食、ヒトの健康を保全する地域資源循環型畜産の構築-北里大学八雲牧場における理論と実践-

摘要

平成15年12月に刊行された農林水産省の報告書「我が国の食糧自給率一平成14年度食糧自給率レポート、食料需給表－」には，平成14年度の食料消費の動向として，米の消費量は減少傾向が続き，牛海綿状脳症（BSE）の発生の影響を受けて減少した肉類の消費も回復し，魚介類は減少していることが示されている。 飲用乳については消費者の健康志向とこれに対応した商品の多様化高品質化が進んだことから長期的には増加傾向で推移しており，乳製品需要についても食生活の多様化を背景に増加している。 肉頬の消費量はかってのような急激な増加傾向にはないものの，引き続き増加傾向にある。 しかし，少子化、高齢化、飽食時代を迎え，食料の総消費量の増加は期待できないため，WTO体制のもとで市場シェア獲得をめぐって，国産品と輸入品との国際間競争が益々，激化することが予想される。 このような背景から，農業を中心とした地域振興策は国民的課題である食料自給率向上の取り組み強化が鍵となる。