中山間地域の市町村からみたNPOによる地域環境管理

摘要

近年，農村地域環境の新たな管理主体としてNPOや環境ボランティアへの期待が高まっている。 2002年には自然再生推進法が成立し，2003年度からは田園自然環境保全、再生支援事業など，NPOの参加を想定した事業制度も展開されはじめている。 こうした流れの背景には，中山間地域では過疎化や高齢化によつて，また都市周辺地域では混住化によって農村コミュニティの機能が低下し，地域住民だけでは地域環境管理をす分に行えなくなったという事情がある。 地域環境の荒廃は，とりわけ中山間地域で深刻である。 耕作放棄地の発生や里山の荒廃はいうまでもなく，道路や水路といった生産、生活関連施設も維持できなくなっており，最悪の場合，生命線である飲料水の確保すら困難なケースが生じているという。 その一方で，NPOや環境ボランティアが棚田や里山を管理する先駆的なケースが各地で誕生し，注目を集めているのである。