農業水利施設の設計施工とその性能照査における基本的論点

摘要

なぜ，いま性能（照査型）設計なのか？ それは，世界貿易機関（WTO）「政府調達協定」と「貿易の技術的障壁に閲する協定（TBT協定）」による技術仕様の性能規定化，およびISO規格の尊重という外的要因だけではなく，設討論としての内的要因もある。 本報では，今後の農業農村整備事業において，特に農業水利施設の設討施工、維持管理に関して，性能設討が①公共工事の国民への説明責任，②コスト縮減，③既存施設の補修補強などストックマネージメント，④要求機能の多様化などに答えうる枠細みなのかどうかについて考えてみる。 かかる課題は，設計の自由度の拡大，新工法、新材料の通用など性能設討の特徴が十分に発揮されるときに真に実現される。 そのためには，技術論的にその内容を検証し吟味しておく必要がある。 また，各種の土地改良事業計画設討基準を性能規定化するための課題についても示す。