世界の水思潮の変化と農業用水

摘要

近年，水に対する関心が世界的に高まっている。 日本の新開などでも，水問題に関する記事が増加している。 この中で開かれたのが，今回の第3回世界水フォーラムである。 ここでは，一つの世界的な流れの中で考えつつ概観する。 関心の高まりは，国連における議決にもよく表われている。 その主なものを拾ってみる。 まず1992年は，水にとって特徴的な年であった。この年に，国連の「環境と開発に関する国際会議（ダブリン会議）」が開かれ，この中で水の問題がきわめて集中的に議論された。 後年の国際的な諸会議で議論される論点は，ここにすでにおおよそ示されている。 この会議の結論の中には，水が有限な資源であることを認識して経済財として扱うことが重要と述べられている。 農業用水が世界の水資源の70％を使用し，しかも利用効率が低く，これを改善することが，水資源にとって重要であることも述べられている。 農業用水については食料だけでなく，「食料と農村開発」というくくりにしているが，これはその後のいくつかの国際会議，今日の水フォーラムまで受け継がれている。