遺伝子組換え農産物とその検知技術

摘要

世界的に遺伝子組換え技術を利用して開発された（Genetically Modified；GM）農作物の実用化が進んでいる。 GM農作物が食品として初めて商品化されたのは，米カルジーン社が開発した日持ち延長の形質を導入したトマト「Flavr Savr~(TM)」であり，1994年のことである。 その後1996年から，ダイズ，トウモロコシ，ワタ，ナタネといった主要作物のGM農作物が，本格的に商業栽培されるようになった。 1996年における世界のGM農作物の栽培面積は170万haであったが，2005年には，米国，アルゼンチン，カナダ等21カ国で約9，000万haとなっている。 これは，約53倍の伸びである（James，2005）。 一方，日本において食品としての安全性審査が終了したGM農作物は，2006年8月15日現在76件（表1）となっており，食品としての商品化が可能となっている。 しかし，GM農作物に対する消費者の理解は進んでいないのが現状である。 本稿では，「遺伝子組換え農産物とその検知技術」を取り上げ，遺伝子組換え技術とその安全性の考え方，また，日本におけるGM食品等に対する施策について解説する。 さらに，GM農作物の検知技術の概略を示し，日本におけるGM農作物の検知技術の現在の状況および国際的な検討について述べる。