ェンゲル係数の逆転と家計消費の関係

摘要

家計の消費支出に占める食料支出の割合を表すェン ゲル係数が，家計の消費支出の増加に伴って減少する ことは，エンゲルの法則として広く知られている.周 知のように，エンゲルの法則は食料の必需性を表す経 験則である.しかし，日本における家計消費の実態を 総務省『家計調査』や同省『全国消費実態調査』から 観察する限り，エンゲルの法則は確認できない場合がある.いま，1980-2014年の『家計調査』（全国勤労 者世帯）「世帯主の年齢階級別」データから，3か年の 移動平均を採って家計の1か月当たり消費支出とェン ゲル係数との関係を示すと，第1図のようになる（註1).