バイオテクノロジーの実用化に当たっての特許問題について

摘要

バイオテクノロジーをはじめとする先端産業技術の分野における知的所有権の重要性については，現在，多くの研究者の認めるところとなっています。 遺伝子組換え技術は，遺伝子の導入技術，発現調整技術，遺伝子組換え体の選抜技術等一連の個別技術かち構成されており，この個別技術のはとんどが特許の対象となっています。 また，遺伝子組換え作物を作出ずる際には，通常，既に商品化されている在来品種に，外部より遺伝子を導入することによって行われますが，通常，在来品種には種苗法に基づく育成者権，導入する遺伝子には特許権がそれぞれ成立しており，さらに，そのようにして作られた遺伝子組換え品種にも，新しい育成老権が成立し得ることから，遺伝子組換え農作物の育成にあたっては，複数の人の所有する様々な権利が複雑に係わってくることになります。