水稲の高温登熱性の評価法と品種間差異

摘要

近年，水稲の登熟期間の気温が高く推移することから，玄米の品質低下が大きな問題となっており，高温条件下で実りが進んでも品質が低下しない品種の開発が強く求められている。 高温登熱性の優れた品種を効率よく開発するための要点は，登熱性を高い精度で評価し選抜する手法の確立と，優れた形質を備えた母本を選定することである。 登熱性の優劣の検定には，重山らの温水かけ流し法，永畠ら，小牧らのビニルハウスを用いる方法，表野ら，山川らの人工気象室内での検定，飯田ら，福井らのガラス温室を利用する方法など，いくつかの報告がある。しかし，高価な装備，少ない供試数，長い検定期間など，それぞれ一長一短があり，検定法及び品種間差について統一的な調査が十分なされていないのが現状である。 そこで，種々の検定法の特徴を評価し，北陸地域における普及品種を中心に登熱性のランク付けを試みたので結果の概要を紹介する。