コンテナを利用した移動式栽培技術による果樹の高付加価値化（1）

摘要

果樹は永年性で一度植えたら動かせないという観念があったが，コンテナ栽培なら数年間でコンパクトな樹形に仕上げられ，しかも高品質な果実生産が可能で，かつどこへでも動かせる栽培方法という考えのもとに，コンテナ栽培用用土の軽量化の検討や，用途に適合した品種の選定，早期着果のための栽培技術の確立，また施設の高度利用による新しい作型の開発による高収益安定経営への方向付けを図るとともに，樹から直接取って食べたいという消費者に対して宅配用やインテリア用等にコンテナごと供給できる新商材とするための技術開発を行うことをねらいとして試験をおこなった。 この課題は，農林水産省の地域重要新技術開発促進事業の援助を受けたもので，平成4年度から7年度までの4年間，3樹種について，神奈川県（カンキツ）を主査とした山梨県（オワトウ），長野県（オウトウ），静岡県（ウンシュウミカン，カキ），岐阜県（カキ）の5県共同チームが課題解決に取り組んできたので，その成果の概要を紹介したい。