背白米および基白米発生に関する遺伝要因解析

摘要

水稲は登熟期に高温に遭遇すると背白米，基白米および乳白米が多発し，それにより玄米品質が著しく低下する。 近年，夏期の平均気温の上昇に伴い，登熟期の高温による玄米品質の低下が全国各地で問題になっている。 1990年以降の気象の変動をみると高温年が多く，今後も高温により玄米品質が低下しやすい傾向は続くと予想され，高温耐性に優れた品種を育成する重要性は高い。 背白米，基白米および乳白米の発生は環境の影響を受けやすい形質であるため，育成過程でこれらの発生に対する耐性の強弱を正確に判定し選抜することは困難であった。 しかし，背白米および基白米発生については温室で栽培した水稲に高温処理をすることにより，供試系統のこれら形質の耐性の強さを判定することが可能となった。 高温耐性に優れた品種を効率的に育成するためには，登熟期の高温による玄米品質の低下に関する遺伝様式について知見を得る必要がある。 そこで，高温処理によって高温年の水田圃場を再現した条件下において背白米および基白米の発生に関して統計遺伝学的解析を試み，今後の育種目標に関して考察した。