イカ釣り漁業におけるL ED漁灯の 応用による効率的生産技術の開発

摘要

日本最古の和歌集である万葉集のいくつかの歌 に「漁り火」という言葉が見られる。「漁り火」 を使う漁法は，おそらく万葉集以前から行われて いた"。漁り火，言い換えれば光を利用した漁業 には長い歴史があり，その代表的な漁業が夜間光 でイカを集めて釣るイカ釣り漁業である。イカ釣 り漁業では，「漁り火」として江戸時代以前は松 明や篝火を用いていた2)。明治後半からは燃焼光 源である石油灯ゃァセチレン灯が集魚灯（以下，漁灯と呼ぶ）として用いられ，さらに1920年に は小型発電機を用いた電球照明が導入された2)。 漁灯の光は戦前までそれほど強いものではなかつ た。しかし，1950年代以降，漁船の動力化にと もない漁灯光源は白熱灯さらにハロゲン灯を経 て，1980年代以降にメタルハライド灯へと変わつ た。光源出力が大きいほど漁獲量も多くなるこ とから3'4)，新光源の出現とともに漁灯は大光量 化、大消費電力化の歴史をたどってきた5)。この ため，イカ釣り漁業は，燃油高騰時には経営コス トに占める燃料費の割合が一時40%近くになり， 厳しい経営を余儀なくされている。