アグロバクテリウムの植民地戦略

摘要

植物の遺伝子導入を行う植物病原菌アグロバクテリウム（リゾビウム）は，植物を植民地化するという巧妙な手段で食料を調達します。 今回はこの植民地化の手段をご紹介します。 植物にアグロバクテリウムが感染すると，菌がもつ遺伝情報が働いて感染部位にこぶや細かい毛根から成る腫瘍が作られ，さらにオパイン類と呼ばれる特殊なアミノ酸が作られます。 オパインは，グルタミン酸やアスパラギン酸などのような有名なアミノ酸と違ってあまり自然界にはなく，タンパク質の構成成分にもなりません。