環境と調和した漁業の推進へ水産生物の育種に遺伝資源の確保が重要

摘要

農水省は4月17日，平成9年度の「漁業白書」を公表した。今年の白書では，8年以降の漁業の動向を分析した上で，今後の進むべき方向として①わが国周辺水域の高度利用と責任ある漁業の推進②漁業経営の安定と生産体制の強化③消費者等の要望に対応した流通，加工体制の確立④漁業を核とした魅力ある定住圏づくリーを推進することを基本的課題に挙げている。漁業経営体は，昭和39年の約30万を頂点として年々減少を続けており，平成8年には，前年に比べて2％減少し16万となった。 このうち，全体の95％を占める沿岸漁業経営体は同2％減少し15万2000となった。 これを経営体階層別にみると，わかめ養殖階層及び動力船1t未満層で減少数が多くなっている。 わかめ養殖階層の減少は，太平洋北区でわかめの収穫が減少し，その他の養殖に移行したためであり，のり養殖階層の減少は，小規模経営で，のり養殖から漁船漁業に移行した経営体が多かったため。