キノコの放出する二酸化炭素の野菜栽培への有効利用に関する研究

摘要

最近，ヒートポンプなどの熱交換技術を用いてシイタケ，エノキタケ，シメジなどの茸類が周年栽培されるようになってきた（例えば辻村ら（1））。 これは，茸類の人口培地として菌床が用いられるようになったことに加えて，ヒートポンプによるエネルギーの効率的利用技術の普及によって，人工環境制御装置のランニングコストが大幅に縮小されたためであろう。 キノコ栽培が通常の植物栽培と異なる点の1つには，キノコは光合成を行わず，常に呼吸により酸素を消費し，二酸化炭素を放出することが挙げられる。そこで，キノコの呼吸により放出される大量の二酸化炭素を，野菜の栽培に利用すれば野菜の施設栽培での二酸化炭素供給源として利用でき，両者のガス交換特性を利用した効率的な栽培システムを構築できる可能性がある（2，3）。