稲の生長を支える根〔18〕 一地上部の生長の良否は根のそれによつて規定される一 (その8)稲の根の，形態形成（続き）

摘要

ところで冠根始原体の分化，生育，発根については3'4の説があるので，それらを概観し各説の当 否を検討する;稲体を形態的にみると，「節」を中核とする葉， 分げつ，節間（茎）および根の「器官群の連鎖体」 であって，1つの節から1枚の葉，1本の分げつお よび数本の根が出，そのうち根（冠根，1次根）は「節」の上下にある発根帯に，原基が形成され発 根する; そして，伸長節間下部の茎の部分〔節間が著しく短い，新田（1992， 1996ほ力、）のいぅ不伸長 茎部下部（概ね第4葉の節間以下）を除く不伸長茎 部上部〕では辺周部維管束環は節間におレ、ても発達 し，節間にも冠根始原体が形成され（藤井1958), 冠根始原体は節の上下のみならず，茎に沿って連 続的に形成される（前号で述べたとおり）; その場 合，冠根原基は辺周部維管束環に接した部位にのみ 形成される.