国際比較からみるわが国の農業保護

摘要

環太平洋パートナーシップ協定（Tpp)において は，わが国農産物市場の更なる開放の是非が問われ ている.これはTPPに先立つ経済連携協定（EPA) の中でも常に懸案となってきた事項で，わが国は多 数の農産品に関する関税の引き下げや関税割当な どで対応してきた.しかし，ドーハラウンドが暗礁 に乗り上げていることで，農産物の輸入規制に関す るわが国の政策は，1994年のGATTウルグアイラ ゥンド（UR)農業合意に則ったものが，今なお基 本的な枠組みとして維持されている.米麦などの食 用穀物，砂糖，牛豚肉，乳製品などの重要品目に関 しては，これまでのEPAにおいてもほとんど「例 外」として极われてきたからである.交渉中のTPP ではこれらが重要なターゲットになっている点で， 既存のEPAとは様子が違う.