モモ'白鳳'果実の高糖度および低糖度園の実態調査と品質向上技術〔6〕

摘要

'白鳳'の収穫期の糖度にはこの時期の日照条件の影響が大きい.成熟期に入っても樹体の栄養生長が盛んで新梢伸長が活発に行われるので，これを適宜に摘心で除去し（写真43),榭冠内の日照を確保 することが重要である.栄養生長には土壌水分と窒 素栄養の影響が大きいので，収穫期には土壤がある 程度乾燥（pF2.5approx2.7程度）し,榭体の窒素栄養 もやや低いのが好適である.草生栽培で樹体の窒素 レベルを低くすることができれば，草生による土壌 水分の吸収で土壌の乾燥が進み，果実品質の向上に 好適な環境条件になるものと思われる.新梢長が短く，葉面積も小さいため収穫時に木漏 れ日の多い園地で糖度が高かったことは，樹冠内の 日照の確保がいかに重要であるかを示している.水田転換園あるいは平坦地では，梅雨時期の降雨 による過剰な土壌水分の排除が必要で，これには 5°程度の軽い勾配を設けると，表層排水がスムー ズに行われる（写真44'45).