エタノール変換技術〔3〕 変換技術の評価と実用化への展望

摘要

近年，化石燃料の代替として，セルロース系バイ ォマスを原料としたバイオエタノールの製造が注 目されている.我が国においても農林水産省委託プ ロジェク卜研究「地域活性化のためのバイオマス利 用技術の開発（地域バイオマスプロ）」において， 稲わらを原料としたバイオエタノール変換技術の開発が行われており，Calcium Capturing by Carbonation (以下，CaCCO法）29)やDirect Saccharification of Culm (以F, DiSC法）20)など，高効率なバイォェタノール変換技術の確立に向け た研究開発が進んでいる.また，本プロジェク卜に おいてはコスト目標も明確に定められており，原料 の生産から廃液処理工程までを含めて100円/L程 度と，低コストでバイオエタノールを製造する技術 開発が求められている.一方，世界各国でバイオ燃 料の二酸化炭素（CO_2)削減率に関して基準を策定する動きが進みつつあり，我が国においてもバイオ 燃料導人に係る持続可能性基準等に関する検討会において，バイオ燃料のCO_2削減率として50%を 一つの方向性と報告している.このような現状を受 けて，新たな変換技術を用いたバイオエタノール製造プロセス全体のCO_2排出量がバイオエタノール のCO_2削減基準に合致するかについて評価する必要性が高まっている.